事務所からのお知らせ
2014年12月25日 木曜日
歴史的建造物の保存・活用のための制度改革提言
先日、「事務所からのお知らせ」欄でご案内したシンポは、おかげさまで無事に終わりました。
さらに、シンポの後、近畿の弁護士会(近弁連第28回人権擁護大会)では、『将来世代に継承すべき歴史的建造物等の保存・活用のために制度改革を求める決議』を可決し、この決議文を関係省庁や自治体に送付しました。決議文は、近弁連HPを開いて( http://kinbenren.jp/symposium/index.html )、「この大会の宣言・決議等はこちら」というところをクリックしてご覧下さい。
決議は、①都市計画・建築法制、②文化財保護法制、③所有者支援と教育という3点について法改正・運用改善を提言するものですが、次のように5つの観点から整理し直すことができます。第1に建築保存を求めることは単なる趣味やノスタルジーではなく人格に関わる権利だということ、第2に市民参加が大事だということ、第3に建築保存の手段として文化財の指定・登録件数を増やすよう運用を見直すこと、第4に、特に近代建築については利用し続けることも保存にあたる旨を明確にすること、改修しながら利用し続ける道を広げること、第5に、相続税制など各方面から所有者を支援すること、です。
京都・奈良のような古都という印象は薄い大阪ですが、近代建築を中心に多数の貴重な建築・まちのシンボル・記憶のよりどころになっている建築があります。次々と近代建築が取り越される一方、近年、大阪市内の近代建築を見学するイベントは大人気です。利用者・市民と所有者の権利を調整しながら、魅力的な建築が、単なる美術品としてではなく息づく都市に成熟していくための仕組み作りに向けて、私個人としても引き続き努力したいと思っています(o)。