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2014年6月3日 火曜日

庭園の所有権と庭園設計者の著作者人格権

当事務所の奥村が弁護団の一員(設計者の代理人)として担当した新梅田シティ仮処分事件について裁判所が下した決定が「重要判例解説」(有斐閣)の平成25年度版に掲載されています。この事件は、庭園所有者が庭園内に巨大モニュメントを設置することに対して、庭園設計者(ランドスケープ・アーキテクト)が差止めを求めたという事案です。
 著作権法は、著作物を著作権者の意に反して改変してはならないと定める一方(20条1項)、「建築物」の増改築や模様替えをする場合は改変が認められるとしています(20条2項2号)。
 そこで、当方は、①庭園も著作物にあたる、②建築物の改変が認められるのは実用目的だからであって、実用性が低く、かつ「公開空地」とされている庭に、しかも実用性のないモニュメントを設ける場合には、所有権よりも著作権(著作者人格権)の保護が優先される、という主張をしました。
 裁判所は、大雑把に言うと、この庭園が著作物にあたること、意に反する改変にあたることを認めましたが、建築物も庭園も、実用目的に限らず改変が認められるとして、当方の求めを退けました。
 結論として敗訴していますし、裁判所の判断基準によると、庭園設計者の権利が実際に守られるケースが想定しづらいと言わざるを得ません。
 ただ、庭園が著作物にあたることを認めた全国初の判断です。
 なお、ご依頼者は、都市緑化のあり方を議論する場を設けてもらいたいという思いが強く、その手段として著作権の裁判を選んだという経緯から、裁判の長期化につれ個人的な権利にこだわるとの誤解が広がるのを避けたかったこと等、諸事情により本裁判をするに至りませんでした。

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